第63章 ※月松 300拍手御礼話
(もーーっ、かーわーいーいーーっ!!)
膝に対面で座らせ、嫌がる主ちゃんの唇を無理やり奪う。
「やめてよっ!お酒くさい!!」
「お前からもっかいチューしてくれたら止める〜」
「……」
口を尖らせむくれている。
あのね、酔ってる俺ですら分かるんだけど。
イラつきを生理のせいにしてるけど、ホントは俺にかまってほしかったんだろ〜?
『ゴーールッ!!ロスタイムで同点まで追いつきましたー!!』
「おっ、延長戦かぁ?」
主ちゃんを膝に乗せたままテレビを覗くと、じたばたと暴れ始めた。
「降ろしてってば!!」
「じゃーほら、ちゅーーー」
「……」
—ちゅっ—
柔らかい唇がそっと俺にキスをする。
「…はい、降ろしてください」
「へへっ、飲んでねーのになぁに赤くなってんだよ〜?」
「…うるさい」
「いいぜ?べつに生理中でも。風呂場でならヤれるじゃん?」
そう言うと、額に縦皺を寄せて不機嫌そのものな表情になった。
「ヘンタイ!お腹痛いのにする訳ないでしょ!」
「じゃあパイズリして〜!」
「はぁっ!?」
(あ、地雷だった)
なるほど、生理中はそーゆー話題禁句なのね。
ついにポカポカ背中を叩きだす主ちゃん。
「わかったわかった!じゃあ俺にくっついて日本応援してて?なっ?」
お腹をさすってやると、今度は無言で抱きついてくる。
「…やっぱりお酒くさい」
「はいはい」
テレビは観づらいし、ビールは飲みづらいけど。
(可愛いから全部オッケー!!)
気持ちよさそうにパーカーに顔を埋める頭を優しく撫でてやった。
「べつに……してもいいけど」
「おーーっ!!絶妙なパスだなおいっ!!ん?なんか言った?」
「い・い・え!!」
延長戦に夢中になり、せっかくのパイズリを逃してしまうおそ松なのだった。
長男の場合 fin