第63章 ※月松 300拍手御礼話
三男の場合
主ちゃんは実家暮らしだ。
今日は親が一日中留守らしく、期待に胸を膨らませ僕は家に上がった。
広々としたフローリング、床暖完備、カウンターキッチン…。
家中からするなんかのいい匂い。
うん、昭和から時が止まったままのような我が家とは月とスッポンだ。
リビングに案内され、フカフカなソファーに腰を下ろすと、コーヒーとケーキを持って主ちゃんがやって来た。
「あ…そ、そんなお構いなく!」
「いいえー、今日はお客さんなんだから寛いでいってねっ」
あーもう…会う度に新妻スキルが上がってるよ。
これは飛び級で、三日後あたりに入籍するんじゃないか?
そうと決まれば、新○さんいらっしゃい出演プロジェクトのネタ作りに励まないと。
そうだなぁ…僕らのエピソードで面白いのって何だろう?
アレか?
いや、コレも捨てがたい。
落ち着け!ソレはないだろー!
ってあぁっもうっ!
僕の心の準備が出来てないよ!
そして職も見つかってないよ!?
「ねぇチョロ松くん」
(そうだな…厳しい予選に受かるためには、大幅なキャラチェンジをして没個性を狙い、更には波乱万丈アピールのために一度心を鬼にして兄弟との)
「チョロ松くんってば!」
「なななっなにっ!?」
僕とした事が、主ちゃんと二人きりにもかかわらず、頭は新○さんいらっしゃいでヨーロッパ旅行当てる気満々になっていた。
「一緒に映画観ない?借りてきたんだけど」
「い、イイね!何の映画?」
「未知との接近!ファイナルカット版っていうの見つけたの!」
…主ちゃん?
またそんなふっるい映画を持ってきてどうしたの?
今平成だよ?
そして主ちゃん二十代前半だよね?
あれかな?
プレデターとか宇宙人とか、人ならざる者に強い愛着があるのかな?←恋模様9章参照
でも…。