第60章 チョロ松とオコタみかんしたい時に読む話
主人公視点
おそ松くんがいなくなった後、わたしはチョロ松くんにお説教タイム。
「ダメだよ、突然殴ったりしちゃ」
「…アイツが悪い!」
納得がいかない様子。
コタツにうつ伏せになり、腕を組んでふて寝している。
「ってか、前からアイツのあーゆーところホンット嫌い!まじデリカシーない!空気も読めない!それに加えて図々しい!!」
「面白くて優しいお兄ちゃんだと思うんだけどな。この間二人で話した時、弟のこと大事にしてるなぁって思ったよ?」
そう言うと、チョロ松くんはガバッと上体を起こし、隣に座るわたしに詰め寄った。
「この間…?二人でっていつ?ねぇいつの話!!」
「えっと…酔って寝ちゃったチョロ松くんをおそ松くんがおぶって、三人で帰っている時…かな」
「アイツ変な事言ってなかった!?オモチャがどうとか性癖とか!!」
「そんなの話題にすらならなかったけど」
そう、と言って安堵の表情を見せると、冷めた湯呑みの緑茶をすすっている。
言っていいのか躊躇したけれど、言うことにした。
「…三番目は真ん中だから、俺には分からない苦労があるのかなぁって心配してた」
「あのガサツバカが?」
「その呼び方やめて!」
「…ごめん」
への字口で俯いている。
「でも、兄弟だからこそプライベートに首突っ込まれたくないんだよ。だってそうでしょ?僕のプライベート=主ちゃんだよ?主ちゃんのプライバシーを守るためにも、僕の性癖は知られたくないんだ」
(性癖で締めくくらなければ、納得のいく内容だったのに…)
「た、確かにわたしもそれは恥ずかしいよ。でもだからって、殴るのはやりすぎだと思うな」
「…わかったよ。さっきは、その…驚かせてゴメンね。もう暴力はしない」
眉尻と口角がますます下がり、しゅんとしている。
「——アイツが帰ってきたら、謝るよ」
「ふふっ、ちゃんと反省したなら…」
「!!」
チョロ松くんの膝に、向かい合うようにして乗っかった。
「…いいの?」
「…うん」
頷くと、優しいキスが唇に落とされ、
「主ちゃんの全部、僕だけの秘密にしたいんだもん…」
バツが悪そうな顔をしたかと思うと、甘い声で彼は囁いた。