第59章 一松とにゃんにゃんしたい時に読む話
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あっという間に日が暮れた。
見慣れた街に着き、肩を並べ歩く。
「今日は楽しかったね」
「……まあね」
と言いつつも口元が緩んでいる。
「でも、ヤバイな…昨日家に帰らなかったから、たぶんメンドーな事になる」
「面倒って?」
「……チッ、早速お出ましかよ」
「?」
一松くんは繋いでいた手を離しポケットに入れると、俯いてしまう。
と、前から歩いてきた赤いパーカーの人が声をかけてきた。
「あーらま、一松じゃんっ」
「……」
「もしかして、隣の子って噂の主〜?」
「……」
一松くんは何も答えずプイッとそっぽを向いた。
六つ子とは聞いていたし、次男のカラ松くんには何回か会った事があった。
同じ顔なのだから、この人も兄弟で間違いない。
この陽気な雰囲気の赤いパーカーの人は、何番目の兄弟なのだろう?
「あのっ、初めまして!一松くんとお付き合いさせて貰っているyou主です!」
「初めまして〜長男のおそ松でーす。なんとなく話は聞いてたけど、コイツ全然紹介してくんねーんだもん。よろしくねーはい握手」
ニカッと笑って手を差し伸べられる。握手をしようとわたしも腕を伸ばしたところで、一松くんがすかさずおそ松くんに猫パンチを繰り出した。
「いたっ!」
「さわるな」
「挨拶だっての」
「ダメ」
おそ松くんは、ちぇーっと言いながら両手を頭の後ろで組んだ。