第59章 一松とにゃんにゃんしたい時に読む話
「ま、イイや。主ちゃん、今度ぜひうちに遊びに来てよー!みんな会いたがってるし、一松の彼女とかお兄ちゃん気になっちゃってさー!もしかして正体猫とかじゃないよねー?」
「へ?猫?どういう意味ですか?」
おそ松くんはニーッと笑いながら、わたしの顔をまじまじと覗き込んできた。
「だって、一松の彼女ってことは、人じゃなくて猫かもしんねーじゃん?コイツ猫にへんし」
「オイちょっと待てーーっ!!それ以上何も言うな!!ほらほらーっ!!コレが欲しいんだろ!?くれてやる!!存分にくれてやるよ!!だから黙ってさっさとパチンコ行ってこいやぁっ!!!!」
「一松くん!?」
一松くんが急に大声で叫びながら、千円札でおそ松くんの頬をペシペシはたき始めた。
「ほんとにー!!なんだよ一松ぅ!お前かわいーとこあんじゃん!ヨッ!この色男〜!」
嬉しそうにお札にキスをするおそ松くん。
「いいから早くパチンコ行けって!」
「はいはい、二人の邪魔なんてしねーから!じゃあな主ちゃん!マジで今度うち来てね〜!」
すっかり上機嫌になったおそ松くんは、手をヒラヒラさせながら商店街へと向かって行く。
「一松くん、急にどうしたの?」
「……ねえ」
「なに?」
「……」
気がつくとわたしに向かい手を伸ばしていた。
(なんであんなに慌てていたのか気になるけど…ま、いっか)
指を絡ませると強く握り締められる。
こんなに手を繋いでデートしたのは初めてだ。
寒い季節に感謝しながら、わたし達は青白い月に見守られ、身体を寄せ合い帰るのだった。