第58章 ※十四松とのんびりしたい時に読む話
「主ちゃん来世ー!」
「縁起悪い事言わないで!!」
お湯でも近所から貰おうかなとか、パニックになり考えていると…
「十四松兄さんバカなの!?呆れを通り越して呆れた!!」
「トド松くんっ!」
先の尖った大きな鉄製のシャベルを持ち、トド松くんが走って来た。
「え…?何その遠い目!?これで死ぬとかどんなオチだよ!!ま、まぁ赤塚先生らしいっちゃらしいけどさ…」
何を言ってるのかよく分からないけれど、心強いことは確かだ。
「主ちゃん、危ないから下がっててね」
「うんっ、ありがとう!」
トド松くんが勢いよくシャベルを振り下ろした。
—カツーン…—
「いったーい!!手が痺れちゃう!」
「……」
一回かまくらをシャベルでつついただけなのに、トド松くんが涙目になってしまった。
もしかしたら、女のわたしよりもか弱いかもしれない…。
「トド松くん…シャベル貸してくれる?」
「え?」
一刻の猶予も無いので、返事を待たずにシャベルを借りて雪に突き刺した。
(十四松くん…今助けるから!)
—ザクッザクッザクッザクッ……ガシャッ!!—
「やったぁ!首周りの雪が砕けた!!」
「主ちゃんすごーい!力もち!」
額の汗を拭うと、トド松くんがパチパチと拍手を送ってくれた。
「ふっかツーシーーム!!」
首が解放された十四松くんは、かまくらから大ジャンプをして、奇跡の(?)生還を果たしたのだった。