第58章 ※十四松とのんびりしたい時に読む話
「素振りは今はいいかな…」
「わかった!!」
「あのね、十四松くんその子の事話すとき、すごく楽しそうだった。だからきっと、その子も十四松くんの事を思い出したら、楽しい気持ちになると思う!」
「そーだといーな!!」
「うん…きっとそうだよ」
主ちゃんが頭をコテンっとぼくの肩に乗せてきた。
「ぼくを思い出して泣いちゃうのはヤダなー」
だからぼくも笑うんだ。
「十四松くんを思い出して泣く人はきっといないよ」
「主ちゃんも笑うー?」
「笑う笑う!」
「笑ゥやきゅうまーん!!ドーーン!!!!」
嬉しくなって思わずジャンプしちゃったら、
—ドカッ!—
「ちょ、十四松くんっ!?」
「あー…」
かまくらの天井に穴が空いちゃった。
主ちゃんが見えない。
見えるのは雪と公園と青空。
かまくらの中で、主ちゃんが慌ててぼくの足を引っ張ったり、ガシガシ雪を削ろうとがんばっている。
(冷たくて気持ちいいなー)
ぼくはかまくらのてっぺんから頭だけ出して、雪だるまの頭状態になっていた。