第58章 ※十四松とのんびりしたい時に読む話
十四松視点
主ちゃんってスゴイなぁ!
かまくらでおしるこ飲むとクソ美味いんだね!
ぼく知らなかった!
主ちゃんとぴったりくっついていると、あったかくてこのまま離れなくなっちゃいそうだ。
ん?違った!
離れられるけど、ぼくが離れたくなくなっちゃうんだ。
「ねぇ、十四松くん」
「なーにー?」
「こんなこと聞くのは変かもしれないけれど…」
「うん!」
変な事ってなんだろう?
「十四松くんって、前に彼女いた?」
「いないよー!好きな子はいたけど!」
「っ!!」
確かに変な事だった!
だって、雪とかまくらとおしることぼく達には、何にも関係ない事だもん。
「なんでそんな事聞くの?」
「なんとなく…十四松くんってステキなとこいっぱいあるから、わたしが初めての彼女じゃないんだろうなぁって」
「じゃあ、主ちゃんもステキだから彼氏いたの?」
「う、うん…大学時代に」
「そーすか!!」
ちょっとだけ胸がチクっとした。
でもそんなのしょうがないよね。
ぼくが知っている主ちゃんは、今の主ちゃんだから。
河川敷でラッパ吹いてた主ちゃんだから。
「ね、好きだった子ってどんな人だったの?」
「三つ編みが可愛かった!」
「ふふっ、あとは?」
「ちょっと寂しそうだった!笑うと過呼吸で倒れてた!ぼくと沢山遊んでくれた!プリクラ撮ってくれた!あとは…」
聞かれたんだから、全部言わないと。
「大好きだった。だから好きって言った。だけどフラれて田舎に帰っちゃった。最後にお見送りしたら、泣きながら笑ってくれた。あとはもう無いかなー?」
あ、死のうとしてたのは何故か言えなかった。
ぼく、うそつきだ。
「そっか、とってもステキな女の子だったんだね」
「そーだよ!!」
「きっとその子も、十四松くんのこと大好きだっただろうね」
「そーかな??」
そうに決まってる、そう言って、主ちゃんはちょっぴり泣いた。
「素振り見たいー?」
「なんで今!?」
泣かせちゃったから。