第56章 お前がいないとだめなんだ カラ松
主人公視点
夕方、突然の訪問客。
「何?」
「元気にしてるか気になってな」
「距離置くんじゃなかったの?」
「そうだが、この間お前を怒らせたままだったろ?だから会いにき」
「虫が良すぎるよ」
「え?」
「急に距離を置くって言い出したくせに、いきなり家にくるとかさ。自分の言葉に責任持てないの?」
「すまなかった。だが、お前を嫌な気持ちにさせたまま離れるのが気がかりだったんだ」
「だから、それが身勝手だって言ってるの!!」
「身勝手…か?お前を心配するのが身勝手だと言うのか?」
「だってそうでしょ!離れるって言っておきながら心配で来たとか、人を振り回すのやめてよ!!」
「そんな言い方しなくてもいいだろ!!お前を安心させたかっただけなのに!」
「大体、距離を置くって何?なんで理由を教えてくれないの?理由も分からず保証も無いのに、いつまで待ってろって言うの!?」
「そ、それは…!」
「ほら…またそうやって答えてくれない」
「……いつまで待たせるかは分からない。明日かもしれないし、三か月後かもしれない。だが信じてくれ!必ず迎えに来る!」
「信じられません!」
「何故だ!」
「だって、結局わたしに会いに来て、自分が言った事早速守れてないし!!」
「っ!!」
——そして、押し黙るカラ松くんにサヨナラも告げず、わたしは玄関のドアを閉めた。