第56章 お前がいないとだめなんだ カラ松
「よくこんなのに彼女がいたなぁ」
「チビ太ぁー!!過去形に…過去形にするなぁーー!!」
泣き上戸MAXな次男。
それを見てゲラゲラ笑う笑い上戸な長男。
いつの間にか寝てる四男。
マイペースにおでん食いまくる五男と、致死量のイタイ発言を浴びせられぐんなりと五男によりかかる末弟。
そして、呆れ顔のチビ太。
(こんな状況じゃアドバイスもクソもないっ!!)
もういいや。
話聞いて励まそうとしていたのに、結局僕たちってこうなるんだ。
僕もビール飲んじゃおうかな。
悪酔いしたらゴメンね、みんな。
話を聞くのを諦めて、並々注いだビールを一気飲みしようとしたその時、
「……おれだったら…待ってる」
隣で寝ぼけながら一松が呟いた。
その言葉に、全員がハッとする。
カラ松が、涙でグッショリになった袖から顔を上げた。
「ブラザー、なんだって?」
「………何度ひどい事言っても…来てくれるのを……」
「っ!!」
「…だって、そうすれば…——」
何かを言いかけて眠ってしまった。
でも、カラ松兄さんにはその何かが伝わったようだ。
「泣いている場合じゃなかったな」
先ほどまでとは打って変わり、覚悟を決めた顔つきになっていた。