第56章 お前がいないとだめなんだ カラ松
おそ松兄さんが、グラスを乱暴にカウンターに叩きつけ怒りを露わにする。
「お前バカじゃねーの!?んなの十四松でも分かるぞ!!謝るついでにヤらせろっておかしいだろ!!なぁ十四松!」
猫目になって黙っていた十四松の顔が、話を振られパッといつもの顔に切り替わる。
「あい!ちゃんと話さないでセクロスはよくないと思うなぁぼくは!!」
「ほら!五男だってこう言って仰せられるぞ!」
と、ついに右端で大根をはふはふしていたトド松も参戦する。
「一番ヤバいのを挙げると、理由も言わず距離を置くって、別れる前提の常套句だからね?」
「えぇっ!どういう事だトッティ!?」
カウンターに乗り出すカラ松兄さん。
「カラ松兄さんさ…理由話せない気持ちは分かるけど、そんなん他に女出来たとか、やましい事があるって勘違いさせちゃうって!ま、ありえないけど」
「なんだと?信じてくれ!確かにカラ松ガールズは星の数ほどいるが、オレの心臓を捧げたのはあいつだけだ!!」
カラ松…削ぎ落とされたいの?
「ねぇ、その例え、いろいろとギリギリだからやめて」
「なぜだ?試しにチョロ松、オレの言葉を言ってみてくれないか」
「言うわけない!!」
「心臓をささ」
「セェイッ!!」
ぱくっ
信じられないくらいのイケボで禁断の言葉を言いかけた十四松の口に、ハンペンを放り込んだ。
「うんまーーーっ!!」
こうかはばつぐんだった。
「オマエラ…頼むから一話目の過ちを繰り返さないで!?そしてカラ松!どんなカッコいい言葉も、お前が言うだけでイタくなるエフェクトは一体何?何で触るものみな傷つけるの?」
「そんなの…言われなくても分かってるさ!お前はこう言いたいんだろ!愛すれば愛するほど傷つけてしまう……………オレは孤独なギルトガイってなっ!!」
「うわーーっ!!溜めたのちイタイ!!もうムリーー!!」
トド松のなんかのラインが決壊したようだ。
隣に座る十四松のパーカーにしがみつき震えだした。