第56章 お前がいないとだめなんだ カラ松
「そんな自分に情けなくなって……この前、ハニーにしばらく距離を置きたいと告げたんだ。ちゃんと就職して、胸を張ってハニーを迎えに行くつもりだった。そうしたら、なぜ距離を置きたいのか理由を聞かれ…——」
「…な、何て言ったの?」
肝心なタイミングで口ごもったので、恐る恐る聞いてみた。
「それが——何も言えなかった」
「……」
…その場にいた全員が凍りつく。
いやいやいや、アウトだろそれ。
「何とか不安にさせないために、愛の言葉を紡ごうとしたが、そんな時に限って何も思い浮かばなかったんだ。しばらく黙っていたら、『もういい』と泣きながら怒ってしまって…」
大粒の涙を流し始めるカラ松兄さん。
そして気がついたら、涙と共に作画が元に戻っていた。
どういう仕組みなんだろう?
…って、今はそんなの気にしてる場合じゃない!
「今日、怒らせたことを謝りに行ったが……口論になった末、追い返されてしまった。そして……ヤラせてくれなかったぁーーっ!!」
ようやく作画が戻ったのに、今度はカウンターに突っ伏し声を上げて泣き出す始末。