第56章 お前がいないとだめなんだ カラ松
カラ松兄さんはチビ太にビールを注がれると、グイッと喉を鳴らしながら一気に半分も飲んだ。
「ヒック…もうどうにでもなれだ。オレのサンシャインは沈んでしまった…。このまま永遠の眠りにつきたい…」
「ぶっ倒れられると、お前を運ぶの僕達なんだけど」
まぁ、僕も悪酔いして、よく兄弟の世話になってるから、それぐらい大目に見てやるか。
「で?回りくどいのはいいからさっさと話せバーロー」
「……実は」
カラ松兄さんは、思い詰めた表情をしながら、ようやく重い口を開いた。
「最近、ハニーに引け目を感じ始めていた。ハニーはちゃんと働いてるというのに、オレときたら…。実に情けない男だ。主が働いている間も、マミーより与えられし恵みにすがり、己の内面と向き合う時を過ごすばかり…」
「気持ちわり」
チビ太…耐えてくれ。
僕達の思いを代弁してくれて嬉しいけれど、やっと無口だったコイツが話し出したからには、イタイ発言を最後まで我慢しないといけないんだ…。
そして見た目がデュークなのは、目を閉じてなんとか受け流すんだ。
「そんな自分に嫌気が差し、ここ数日、ハロワに通いつめた。けれど、書類審査で数え切れないほど落とされるし、やっとの思いで面接までたどり着いてもこのザマだ。仕事が全く見つからないんだ」
兄弟一酒に弱いくせに、またグビリとビールを飲んでいる。
相当自暴自棄になっていると見た。