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おそ松さん〜ニート達の裏模様〜

第55章 ぼくだって甘えたい… 一松


「起きろっ、今日猫缶の特売日だろ!起きないとこの街の猫が困るっ!」

「ね…こか……猫缶っ!?」


主がパチリと目を開けた。


「今何時!?」

「…八時すぎ」

「遅刻するーっ!!」


飛び起きるとそのままシャワーを浴びに行った。

忙しなくバタバタしている主を尻目に、おれはトイレに行ってから水を飲み、ダラダラとテレビを見て過ごす。

昨日迷惑かけたことを謝りたいけれど、タイミングも無ければ勇気もない。


(どうしよう…っつーかおれ、何やってんだ)


これじゃあヒトのままでも十分ペットじゃん。

ご主人様忙しそうだにゃー。


・・・


しばらくすると、着替えを済ませ化粧をし、準備を終えた主がおれの元へやってきた。


「ごめん、もう家出ないとなんだ」

「あ…あの……」


謝ろうとしても、緊張してマトモに目すら合わせられない。


「…おれも…帰るから」

「うん、またねっ。でも具合悪そうだから、もう少し休んでから帰りなよ。ハイこれ」

「……?」


手渡されたのは、スコティッシュフォールドのキーホルダーが付いた鍵。


「オマエ…これって……」

「ふふっ、用意していたんだけど、なかなか渡すタイミング無くて」


はにかみながらクシャッと微笑む主。


「いつでもうち来ていいから」

「……っ」


言葉が喉でつっかえる。

『ごめんなさい』だけでなく『ありがとう』すら言えないクソなおれ…。


「……じゃあ、いってきます」


少し寂しそうにニコリと微笑むと、主はパタパタと玄関へ向かった。

せめて見送ろうと、おれもノソノソとついて行く。


「あの……主」

「ん?」


靴を履きながら主は振り向いた。


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