第55章 ぼくだって甘えたい… 一松
一松視点
夢を見た。
主の猫になって沢山甘える夢。
頬ずりしたり、かまってほしくて飛びついたり、膝の上で眠ったり…好きって鳴いて伝えたり。
…胸も舐めた気がする。
…妙にリアルだったな。
あーー……猫になって主に飼われたい。
……人間辞めるか?
半分猫のようなもんだし。
でも…。
人間辞めたら…。
主を…カミさんに出来ない…?
……。
(つーか、おれの枕こんなに気持ちよかった?)
なんて考えながら目を開けると、
「ーーッ!!!!」
目の前に主の寝顔があった。
心臓が口から飛び出すかと思った。
(ど、どどどーなってんだ!?おれ、昨日どーしたんだっけ!?)
思い出せるのは、主と出かけて夜珍しく飲みに行って…。
(おれ…途中で寝ちゃったの?)
タクシーでここまで連れて来てくれたのかな?
そんなん…迷惑かけまくりだし。
(やっぱ……クズでゴミなダメ人間だ)
起き上がろうと頭を動かすと、ぐわんと頭痛に襲われた。
最悪だ。
酔い潰れた上に二日酔いとか…。
…アルコール残ってるうちなら、よく燃えそうだよね。
今なら…燃えるゴミでも逝けるかも。
燃える前にトイレに行こうと起き上がると、時計が目に入った。
「……」
……八時って、ヤバくないか?
「主、おい起きろっ!仕事じゃないの!?」
「むにゃ……いちまつくん…いいこいいこ」
鼻血出る勢いで寝ぼけるな。
頭痛と吐き気を堪えながら主を揺さぶる。