第55章 ぼくだって甘えたい… 一松
一松くんは、ハグを解除せずにカラ松くんをじーっと見つめている。
「こんなところで二人に会えるとはな。オレはおでんを食った帰りだが…一松ガール達はデートの帰りという訳か…」
「……なんだ、ただのウンコか」
「松すらつかないッ!?」
「……主〜アイツキモいコワいイタい〜」
「一松、お前だいぶ酔ってるな?」
カラ松くんの前だというのに、一松くんはお構い無しにわたしを抱きしめている。
「フッ、随分と甘えん坊じゃないか…そんなにガールを手放したくないのか?堂々とハグを見せつけられ、三角関係勃発。そして次章から『きまぐれカラ松☆ロード』が始まるというのか…」
「…コロスぞ」
「……」
どうやら、カラ松くんに対してはいつも通りなようだ。
カラ松くんは笑顔だけど目に涙が溜まっている…。
そして、カラ松くんが目の前にいるのに、いまだにハグをやめない一松くん。
…恥ずかしい事この上ない。
見ている方も恥ずかしいのか、カラ松くんは目が合うと、顔を赤くしながら目を逸らした。
「こ、このハグは…理由があるのっ!一松くん酔っ払っちゃったみたいで、フラつくから今わたしにくっついてきてるみたい」
「そうか…そうだったのか!じゃあオレがおぶってやろう。カモンブラザーッ!!」
カラ松くんが背中を向けて、こちらに向かいキメ顔を見せてくると、一松くんはムッとした表情になる。