第54章 長男に松野家お呼ばれのちトランプ時々裏
次はオレの番だ。
ダウトは単純なルールだが、駆け引きが重要なゲームだ。
如何に正しいカードの時に相手を誘い込むか、そして、嘘ならば心を読み取られる事なく、場にカードを出して逃げ切るかが見せ所である。
つまり…。
演劇部出身であるオレの得意分野!
次のカードは2。
実は、オレは2を4枚持っており独占状態だ。
これは手堅く活かさなくてはならない。
幸い場のカードは一枚しか出ていない。
仮に嘘のカードを出してダウトとコールされても、オレが負担するのは一枚のみ!
決めた。
2はこのまま4枚キープだ。
2が回ってくるたびにブラザー達を狩ってやる!
フッ、次男で2が切り札だなんて、運命はイタズラ好きだぜっ!
『荒れ狂う戦場をクールに駆け抜ける一陣の風…それがオレ、カラ松だっ!!』
「クソ松…死にたいのか?何チンタラしてやがる…さっさと出せやボケェッ!!」
「ま、待て!今出すって!!」
一松…オレには分かる、分かるぞぉ。
手札は減ってきてはいるが、随分と余裕が無さそうじゃないか。
かなり数字が偏っているとみた。
加えて、おそ松ガールがいる事により、ヤツのメンタルは緊張しガッチガチだ。
いつもの弱さにプラスして判断力も鈍っていると見たぜ!
名付けるならば、『荒ぶるヤツは誰にも止められない、暴走機関車、霊長類にしてネコ科に属する男一松!!』ってとこか。
オレは3枚持っていた9を出す事にした。
「オレのターン、デスティニーセカンド!」
「…コロス」
「んー?」
「一松、同じ三文字だけど一文字も合ってないよ?まぁ、気持ちは分かるけど」
「あぁ………ダウト」
「だよね、イタイ上に出すの変に渋ってたし。ホント何考えてんだか」
フン…またカードが増えたが、チョロ松、調子に乗っていられるのも今のうちだ。
(やはり、幸運の女神はオレに微笑みかけている…!)
おそ松と自分が出したカードはなんと…2枚とも9だった。
こうしてオレは、2と9を独占したのだった。