第54章 長男に松野家お呼ばれのちトランプ時々裏
「んじゃ、長男様の特別ルールで場に出てるカード全部カラ松のー!」
「えー!?ちょっと待て!!外す!外すからっ!!」
「いーから早くカード取れ!!」
違うんだ!決してズルしようと思った訳じゃない!
…主の前で、少しでもカッコつけたかっただけなんだ。
それくらい別にいいだろ!
おそ松の彼女だって、可愛いもんは可愛いんだ!!
なんて言ったらおそ松にぶん殴られそうなので、
「…わかった」
オレは素直に場に出た全カードを手札に加えた。
トド松が醜い笑みを浮かべているが、気にするなオレ!
イラついて冷静な判断力を失うとかありえないぞ!
ヤツの心理戦に引っかかってたまるか!
己を落ち着かせるため、深呼吸してからサングラスを床に置き、カードを見ると思わず驚いた。
(何だこれ!?一周分オレの手元に来たが、みんなダウトじゃないかっ!!)
フン…なかなかやるな!燃えてきた…!
このオレを本気にさせた事…後悔させてやるぜっ!!
「おそ松!次はお前からだ!」
「じゃあわたしが出すねっ、いちー!」
(や、やっぱりかわいい…)
キツネとタヌキの化かし合いは、まだまだ終わりそうにない…。