第54章 長男に松野家お呼ばれのちトランプ時々裏
カラ松視点
「ななー!」
「はいダウト」
「ボゥエッ!!」
十四松が自爆した。
それをおそ松が見逃すはずがない。
次のカードは6だったのに、堂々と7を宣言したんだ。
これで数枚の手札が十四松の手に渡る。
だが勝負に臆する事なく、持ち前の予測不能な天真爛漫さで、場の流れと空気を変えるのは評価に値する。
オレはこう名付けよう。
『疾風怒濤の微笑み爆弾、戦場の殺戮エンジェル十四松!!』…と。
「でもおそ松くん、今のところわたし達の手札が一番多いね…」
「そーねー、でも多いと嘘を見破りやすいからへーき」
「え?どういう事?」
「それはね、ゴニョゴニョ……」
おそ松…お前、何いちゃついているんだ?
ここは戦場だぞ?コショコショ話とか羨ましすぎるだろ。
ってゆーか、全員パーカーの上にドテラを着ていて本当によかった。
オレには分かる。
みんなアソコがタッティだと…。
ドテラは腰まで丈があるので、上手い事ごまかせるんだ。
(しかし、この狭い部屋で野郎全員のナニがアレとか…笑えない冗談だ)
女子というだけでも緊張するのに、おそ松のパーカーを借り、下にフワッフワしてるタオル地のショートパンツを履いている主は、童貞達には刺激が強すぎる。
だがこのオレカラ松は、至ってクールを演じなければならない。
静寂と孤独を愛するクールガイ!
それがオレ、カラ松だからな!
そして何としてでも灯油だけは避けてやる!
だって、毎回オレが入れてるし…。
まぁいい、今はゲームに集中するとしよう。
「へへっ、十四松兄さんドンマイ!じゃあボクから7ー!」
「へーいはち〜」
「きゅう!きゅうだ!」
「じ、じゅう」
よかった。今オレは「ダウト」だったが見事にスルーされた!
「……11」
「じゅーにー!」
「13!ってかちょっと待って!」
と、ここでトド松が流れを止めた。