第53章 番外編 秘密の放課後 F6一松
「その紋章に見覚えがあるだろう?」
「いや、全然」
思い出せないようなので、おれはまず自分の宿命を語り聞かせた。
おれは四百年前に帝王なんとかから世界を救ったと言われるなんちゃら王家の末裔で、ペンダントの紋章は先祖代々伝わる△△△であり、現在、帝国の支配から逃れながらF6として活動していると。
そして、主も王家の血筋をひいているという事を……。
「うーん、絶対そんな事ないと思うよ?」
信じられないのも無理はない。
おれだって最近気づいたんだ。お前の一挙一動に既視感を覚え、気になったおれは○輪明宏に主の前世を問うた。
そうしたら、前世のおれとお前は王と妃だったんだ。
疑問が確信に変わった瞬間だった。
「これから忙しくなるぞ。世間の目から逃れ、帝国の支配からお前を護らなければならない……だが、安心しろ。おれがナイトになり、全身全霊をかけてお前を護りぬく」
「ちょ、ちょっと待って!さっきからどうしちゃったの急に!?」
「だが…今は何もかも忘れ、二人で寄り添いハーモニーを奏でよう」
「っ!!」
腰を抱き寄せキスを交わし、柔らかな唇にそっと舌を這わせた。
それは、抱きたいというおれからのメッセージ。
…ちなみに、夢でヤリたいと何度もメッセージを送っていたのに、主はちっとも受信してくれなかった。
「いちまつくん……」
艶めく瞳に火照った頬の愛しいお前を、おれは机の上に寝かせた。
太腿の間に入り込み、身動きを取れなくする。
実を言うと、忙しくて時間を作れず、まだ数えるほどしか主を抱けていない。
久々だが…お前の身体はおれを受け入れてくれるだろうか。
「緊張しちゃう……ねぇ、恥ずかしいよ…」
「楽にしろ。そして諦めるんだ。お前はもう、おれから逃れられない」
おれは口づけながら、シャツのボタンに手をかけた。
主の手からペンダントが落ち、カランと音がした。