第53章 番外編 秘密の放課後 F6一松
随分時間がかかってしまった。
主が寒空の下待っていると思うだけで、胸が締め付けられる。
「じゃあな…こんな事、もうするな」
「待って、待ってよ!」
「お、おいっ!何をしてる!?」
女は急にブレザーを脱ぎ捨て、ブラウスのボタンとブラジャーを素早く外しおれに抱きついてきた。
「お願い…好きすぎて頭がおかしくなりそう…一度でいいから…」
「やめろっ!こんな事をして何になる!!」
「好きなの…グス…アゥ…オォン…ん…うぅ……」
女はおれの胸に顔をうずめ、泣きじゃくり醜い嗚咽を漏らし始める。
(なんだこのオットセイのような泣き声は。こいつは笑わせにきてるのか?とにかく、なんとかして落ち着かせないと…)
おれがオットセイの扱いに頭を悩ませていると、
—バキッ—
校舎の方から物音がした。
(マズいっ!誰かに見られた!?)
音が聞こえた方を向くと、そこにいたのは、
「主!?」
目を見開き身体を震わせている主だった。
・・・
その後、女を超絶イケメンなヌレヌレ必須フェイスで0.5秒見つめ気絶させてから、必死になって主を追いかけ、あそこでああなってそうなって今に至る。
…主の誤解を解けぬまま、一週間が過ぎ去ってしまった。
今すぐ会いたい、話を聞いてほしいとは思ったが、もしまた主に迷惑がかかるような事が起きたら…と考えると、話しかけられない自分がいた。
おれと一緒にいるせいで、あいつを嫌な目になんか遭わせたくなかった。
そんなのは真っ平御免だ。
・・・