第53章 番外編 秘密の放課後 F6一松
「上半身裸の女の子と一松が一緒にいた?それはいけないね。でも、一松が抱きしめてたの?」
わたしは首を横に振った。
「女の子が抱きついていた…」
「じゃあまだグレーじゃない?あのね…一松の彼女であるキミにだけ、特別に教えてあげる」
おそ松くんはウインクしながら人差し指を唇に当てた。
「みんなにはナイショね」という意味の込められた仕草なのだろう。
ホント、いちいちカッコいい。
「僕達F6はさ、世界中の羨望と嫉妬を背負いながらアイドル活動してるんだ。だから楽しいことばかりじゃない。中には度を超えたファンもいる」
「うん…」
人気がありすぎる分、わたしには想像もつかないような重圧があるのだろう。
「僕なんて、ラブレターと共に脱ぎたてパンティが毎日一枚は下駄箱に入ってるんだよ。毎朝ホカホカなんだ」
「えぇーーっ!!??」
やはり…想像もつかなかった。
「だから、もしかしたら一松も過激なファンに何かされていたのかもしれない。最終的に、あいつを信じるか信じないかは主ちゃん次第だけどね」
「そっか…わたし、一方的に感情的になって……ちゃんと話を聞いてあげればよかった」
「あいつが絶不調だと、他でもない僕が困るからさ。ヨロシクね、子猫ちゃんっ」
「あっ」
不意打ちでおでこにキスをされた。
おでこから唇が離れたかと思うと、横目で何かをチラ見したおそ松くんの表情が一変する。
「しょうがない…あいつの目を覚まさせてやるか」
そう呟くと、突然おそ松くんの顔がゆっくりと近づいてきた。
「ち、ちょっと、おおおそ松くんっ!?」
「少しだけ我慢しててね」
そして、唇と唇が重なり合いそうになったその瞬間——
「何をしてるっ!!」
怒りを露わにした一松くんの声が聞こえた。