第52章 番外編 神松育成ストーリー(読切逆ハー裏)
「元彼に抱かれた事ばかり思い出して、寂しくておかしくなりそうになるの!ここをああやって触られたとか、あの時はあんな風に囁いてくれたなって……」
涙が頬を伝う。
「一人が怖い…夜が…嫌い…」
わたしがそう言った途端、おそ松が立ち上がった。
「よし、もう帰るぞー」
「おそ松…」
「ん?何?」
「わた…しを泊め」
言いかけると、頭をポンポンと撫でられた。
「また飲もうな」
振られてしまった。
カッコ悪い事この上ない。
寂しくて、誰でもいいから抱かれたかった。
それだけなのに…。
・・・
その後、一人でちびちび飲んでお店から出ると、
「待ってたよ。身体冷えちゃった」
「そ、そんな!どうして…!?」
トド松が一人、お店の入り口で待っていた。
「…行こう?」
トド松はニッコリ微笑みながら手を差し出す。
「でも……っ」
「いいから来いよ?」
声を豹変させるトド松。
その声があまりにも色っぽくて…気がつくとわたしは彼の手を取っていた。
すがるようにキュッと握ると、可愛い笑顔に戻り握り返してきた。
逃げたいような逃げたくないような、複雑な感情が胸の中で渦巻く。
でも、自分で蒔いた種だ。
ここまで来たら、もう引き返せない。
そしてそのまま——わたしはラブホでトド松と肌を重ねた。
一人の男しか知らなかったわたしには、不器用な愛撫ですら新鮮で気持ちよく、身体は喜びの声を上げたのだった。
・・・