第52章 番外編 神松育成ストーリー(読切逆ハー裏)
ホテルで数時間過ごした後、トド松に手を引かれ松野家へ行くと、真夜中なのに一人起きて弟の帰りを待つ人がいた。
おそ松だ。
おそ松は怒りを宿した目でトド松を睨みつけ、頬を殴りつけた。
「この…ニートの風上にも置けないバカがっ!!」
「な、何すんだよ!?本人の同意があったんだから別にいいでしょ!」
「テメーは、弱ってる女の子に手を出すようなクズだったのかよ!!」
「ボク達もういい大人だよ!?いいじゃん!ほっといてよぉ……!」
トド松は頬を押さえながら床に崩れ落ち、泣き出してしまった。
わたしは思わず、トド松を庇うようにしておそ松の前に立ちはだかる。
「主ちゃん…どいてくれるか?」
「おそ松…ごめんなさい。わたしから誘ったの…。無理やりとかじゃないから!!だからもうやめて!」
「なんだよそれ…——なんでもっと、自分を大事にしないんだよ…!」
「大事に?大事にって何を?十年付き合ったのに、見切りつけられて振られた女の一体どこに、大事にする物があるって言うの!?」
「っ!!」
自暴自棄になっていた。
自分を大事にするとか、そんな価値なんて見出せなかった。
「わたしなんて…なんにもないんだよ…」
情けない涙が流れる。
人のためではなく、自分を慰めるための無様な涙。
これ以上迷惑をかけるわけにはいかない。
喧嘩なんてさせてはダメだ。
「ごめんなさい…お邪魔しました」
涙を拭ってバッグを手に持ち、帰ろうと背中を向けると…
「っ!!」
後ろから腕を掴まれた。
「ここにいろ」
「……でも」
「弟に似たようなのがいるからよく分かる。今のお前は、一人にしたら何しでかすかわかんねー」
振り向くと、「同情」とか「憐れみ」という字がまさにぴったりな瞳がそこにはあった。
「もう我慢できねぇ。俺童貞だぜ?どんだけ据え膳食わねーで我慢したと思う?」
おそ松の顔が近づいてくる。
「なぁ…一緒にバカになるか?…忘れたいんだろ?」
「ん…っ!?」
おそ松は、トド松が見ているのにも関わらず、わたしの唇を奪い服を脱がし始めた。