第49章 みんなよくやるよね… 一松
そういえば、一松くんが友達について話しているのを聞いた事がなかった。
話していても話題に出るのは、猫とか兄弟の事のみ。
(『友達』ってワードは禁句だったかな…)
甘い雰囲気から一変、どんよりとしたオーラを放つ一松くん。
「…そんな面倒くさいの、おれにはいらない」
「め、面倒くさいって…」
「疲れるし、ダルいし」
「……じゃあ」
もっと一松くんを知りたい。
彼女なのに…彼の事を全然分かってあげられてなかった。
「どうしてわたしとは一緒にいてくれるの?」
「はぁっ!?」
一松くんの目がギョッと見開く。
「わたしかなり面倒くさいし、一緒にいて疲れると思うけれど」
「そ…それを言うなら、オマエの方こそなんでお、おれなんかと!!」
「好きだから」
「ひあぁぁあーーっ!!」
頭を抱え、物凄くたじろぐ一松くん。
エッチの時、いつも気持ちは伝えていると思うんだけどな。
思いの外動揺しているけれど、そんな彼をふわりと抱きしめた。
「なんとなく気が合って一緒にいたいから、好きだから側にいる。それだけでいいんじゃない?」
「じゃあ…なんでおれには友達が——」
わたしの胸に顔をうずめながら、ボソボソと話している。
やはり、こちらから自己開示すれば、心の重たい扉をチラリとは開けてくれるみたいだ。
「それは…類は友を呼ぶって言うでしょ?一松くんに似ているなら、その人もあまり人と関わらないから出会えないとかっ!」
「なんだよそれ!」
「ふふっ、焦らなくたって、きっとその内自然に友達出来るって。それに、一松くんには素敵な兄弟がいるから大丈夫。あと猫と可愛い彼女も」
「は?可愛い?」
胸から顔を上げて、皮肉っぽい笑みを向けてくる一松くん。
「…なに自分で言っちゃってんの」
「一松くんだーい好き!」
「にゃっ!!??」
今猫だった。
完全に猫だった。
「ねーぇ」
「にゃ、にゃんだよ!?」
ろれつが回っていない。
でもわたしだって甘えたい。
「エッチのつづき…しよ?」
「……当たり前だろ」
それを合図に一松くんがわたしの服を脱がしていった。