第49章 みんなよくやるよね… 一松
(き、緊張する…)
ボッキーを一本取り出し、震える手で主の口へ持って行くと、唇を尖らせながら咥えた。
相変わらず主はいちいちエロい。
いい加減にして欲しい。
さっきから血液循環しまくってもう心臓が疲れた…。
「……」
「んーー!」
おれがしばらくクソかわいい唇を見つめていると、急かすように主が唸った。
主に咥えさせたのはチョコ側だったので、ブルーベリーチョコが溶けて唇にベトっと付いてしまっていた。
「んーんーんっ!」
(はーやーくっ!ね…)
「……くだらない」
ホントはそんな事思ってないけど。
ちょこんと正座している主に向かい合うように座る。
胸のドキドキは止まないままだ。
肩を掴んでプリッツ側を咥えると、おれから食べ始める。
「カリッ」
「ポリッ」
「…カリカリッ」
「ポリ…ポリ……ん…っ」
主側のチョコが溶けて、食べづらそうに声を漏らす。
(あーエッロ)
ボッキー越しに目が合うと、奇妙な感覚に陥った。
ボッキーを食べているだけなのに、まるで主の身体を愛撫しているような…。
そして、気持ちいいはずないのに、おれも何故だか主に口でシてもらってるような…。
(家に誰もいないし、これが終わったら絶対ヤッてやる…)
これから訪れるであろう、エロい期待に胸が高まりつつ——見つめ合いながらボッキーを食べていく。
そして、唇が主に届きそうになった時、
—ポキッ—
(あ…)
キスの一歩手前でボッキーが折れてしまった。