第48章 ※ハロウィン戦争 トド松
「うふふっ、さっき駅前で、とてもヘンテコな格好の五人がいたんだけど、あなたにそっくりだったわ。ご兄弟かしら?」
「いえ、他人の空似ですよ」
トッティは、笑顔だけど目が笑っていない。
「それでね、ここのケーキを食べないとイタズラしちゃうぞ〜って娘を驚かせてきたんです」
「えっ?」
「でも全員面白かったから、娘は怖がるどころか大笑いで…!本当にあなたに似ていたのに、知り合いじゃないの?」
「あ、えーと…その…っ」
トッティにそっくりな五人なんて、あの人達しかいない。
トッティは躊躇っていたけれど、
「…はい!きっとそれは彼の兄弟です!」
わたしがそう言うと、トッティは頬を染めながら、嬉しそうにニッコリと可愛く笑った。
その後も、奇妙な五人組により、うちのケーキ屋へと導かれたお客さんがわんさかやって来た。
「トッティ、後でお兄さん達にケーキご馳走しないとねっ」
「…うんっ」
わたしがそっと耳打ちすると、トッティは瞳を潤ませながらコクリと頷いた。
こうして、ケーキ屋パティスリーアンジュは、ハロウィンの売り上げ記録を更新するほど大繁盛したのだった。