第48章 ※ハロウィン戦争 トド松
ゼェゼェと息を整えているボクを、おそ松兄さんはポカンとバカ丸出しな顔で眺めている。
「おそ松兄さん、人の話聞いてた?」
「いや、なんか長くてめんどかったから全然聞いてなかった〜」
「まとめると『かえれ』。以上」
「短かっ!!三文字になるなら最初からまとめろよっ!?」
チョロ松兄さんの言う通りだ。
どうせ帰らないなら三文字も三千字も同じだった。
(あーもー!クソ共に油を売っている場合じゃなかった!早く作業して店に戻らないと!)
ボクは兄さん達に背中を向け、再び作業を開始する。
「はぁーあ、なんかこいつめんどくさーい。やめだやめー。パチンコ行こうぜー」
おそ松兄さんがぶつくさ言って歩き始めたその時、
「あ、あれ?おぉっ!?」
ケンタウロスの脚がバランスを崩し、おそ松兄さんが思いっきりこけた。
こけた拍子に、入り口のオーナメントを手で掴み、道連れにする。
—ズルッグシャグシャ…バターン!—
「あぁぁあーーちょっとおぉぉおお!?」
ボクがせっかく作ったオーナメントを、全部グジャグジャにされた。
固まる四人をよそに、ヘラヘラ笑うバカ長男。
「だははっ!ワリィワリィ!普段三本だから四本足って慣れなくて〜。あっ、五本かぁ!…えーと、下ネタ挟んで場を和ませてみました〜!ガチョーン!!」
「……」
あれ?
何だこれ?
不思議だなぁ。
人って心から怒りを覚えると笑顔になるんだね?
ボクは満面の笑みを浮かべながら——
「早く消えて?」
愚の骨頂である兄さん達に、心の声を五文字でまとめて伝えた。