第46章 さて…本気を出すとしよう… カラ松
恋の天使はいつも気まぐれだ。
「わ、ととっ!」
「ほら、しっかり掴まれ」
まさか、こんなにも早く主と再会出来るなんて…。
なんでも、主の友人に急用が出来たらしく、早めにこちらへと戻ってきたらしい。
荷物を家に置いた後、すぐオレに会いに来てくれたそうだ。
オレは、そんな主を屋根の上へと連れてきた。
怖がる主の手を引き、オレの隣へと座らせる。
「わーっ!屋根の上なんて初めて!」
「気に入ったなら毎日登りに来い」
「ま、毎日は無理かな…。でも、ありがとう!」
主の笑顔をもらって、礼を言うのはオレの方だ。
「カラ松くん、いつも此処でギター弾いているの?」
「ああ、此処にいると作曲が捗るんだ。ウインド、スカイ、サンシャイン…その他諸々がオレに語りかけてくるのさっ」
「へー…」
オレは、サンシャインが眩しいだろうと思い、主にサングラスを貸してやると、戸惑いながらもかけてくれた。
「にあうー?」
「ハハッ、似合わん」
からかうように言うと、唇を尖らせわざと拗ねたような態度を取りだした。
「別に、似合わなくていいもん」
フッ、それはオレに甘えたい合図だろ?
お見通しだ。
「ノンノンノン、主。違うぞ〜主。似合わないと言ったのは、お前のキューティアイズが見えなくて残念だからさっ」
キューティアイズが見えなくても、ラブの合図は見落とさない。それがオレ、カラ松だ!
白昼堂々と唇にキスを落とすと、瞳は見えないものの耳まで赤くなる主。
相変わらずマイハニーは表情がコロコロと変わり、オレを飽きさせない。
「もうっ、こんな真昼間の外で…!ね…ねぇ、何か曲弾いて!」
「もちろんだ」
オレはギターをチューニングし、意識をマイソングに集中する。
(さぁ…お前のために、本気を出すか…)