第44章 続・一松事変 〜作者リク作品〜
おれが感動でしばらく立ち尽くしていた時、悲劇は起きた。
「カラ松くん?とりあえず借りたからお店出ようよ」
主がおれを正気に戻そうと、肩を一回ポンと叩いた。
「っ!!」
触れられて胸がくすぐったくなったけれど…
(……減点)
クソ松に触るとか…。
テンションが一気に落ちた。
おれ意外の男に自分から触れちゃう?それはダメだろ主さぁん。
・・・
「……」
店から出たけど、上手く話しかけられずにいた。
先程の肩ポンのショックから立ち直れない。
「さっきから様子が変だけど大丈夫?」
「……べつにフツー」
「そ、そう。でも、映画選び付き合ってくれてありがとね!意外な人に会えて驚いちゃった」
主が可愛い笑顔をおれに向けてきた。
(また減点…)
そんなに可愛く笑ったら、世の童貞達が一目惚れするだろ!
覆面マスクでも着けて歩かせた方がいいのか?
でも、二人が待ち合わせでは無く、偶然出会った事を流れで聞き出せて、少し元気が出てきた。
「…お茶がダメならば家まで送る。それくらいオーケーだろう?」
「お願いします、と言いたい所だけど、ここで大丈夫みたい!」
「え?」
そう言うと、主は前に向かい手を振りだした。
(まさか…)
そのまさかだった。
パーカーだけ奪っていっそ一思いに殺せばよかった。
「一松くんっナイスタイミング!一緒にうちで映画観よう!」
目の前には、おれに扮したクソ松がいた。