第44章 続・一松事変 〜作者リク作品〜
路地裏に連れ込んでホールドから解放すると、クソ松は勢いよく咳き込んだ。
「ゲホゲホッ!お、おいっお前…何やってんだ一松!ゲホッ…びっくりし」
「なんでテメェが主と二人でいるんだゴルァ!?殺すぞクソ松!!オロすぞクソ松!!」
「いつから海のコックになった!?」
胸ぐらを掴み壁際まで追いつめる。
「とにかくまず着替えんぞボケェッ!!」
「ち、ちょっと待て、話聞けって!あとなんで着替える必要がある?なんだその強気!?あっアウチ!!」
無理やりパーカーを剥ぎ取って交換すると、青いパーカーからは香水の匂いがした。
妙にいい匂いなのがおれのイライラを増長させる。
だって、きっと主もいい匂いだって思っただろうから。
再びぐわしと胸ぐらを掴んだ。
「テメェ、今後一切アイツと許可なく話したり会ったりしたら、本気でコロスからな!」
「だから話聞いてー!たまたま会って相談されたか「黙れクソ!!」
さんざん毒づいてから、おれはヅダヤへと戻って行った。
(クソ松になりきってアイツに言い寄ってやる。もし、アイツがおれの誘いに乗ったら——)
自分の心の傷に気づかないほどに、おれの怒りと憎しみは膨張しパンパンに膨れ上がっていった。
・・・
「え?オレどうすればいいの?」
自分の置かれている状況をイマイチ飲み込めていないカラ松は、とりあえず一松になりきりノラ猫と戯れてみようと路地裏の奥へと消えて行った。