第44章 続・一松事変 〜作者リク作品〜
バレないように、ヤツらの死角に隠れながら観察する。
(二人して、何ニヤついちゃってんの…?)
楽しそうにDVDを選ぶ主とクソ松。
胸の中にドス黒い感情が湧き上がってくる。
おれは皆に主を会わせなかった。
唯一会わせたのがクソ松だった。
会わせたっつーか、おれがいない時に主が家に来てクソ松と鉢合わせたらしい。
いろいろ詮索されんのがメンドーだから避けてたのに。
それに…主を、もし他の兄弟に取られたらって思うと、怖かったから。
自信が無かったから。
それなのに、何でよりによってアイツと、クソ松と一緒にいるんだ!?
しかもヅダヤとか、アイツらこの後どこに行くつもり?
どこでそれを観るんだよ!?
チッ、今すぐクソ松をブチ殺したい!
もし何かあったら許さない許せるわけがない!
殺るか?この場で?
と、心に殺傷兵器を装備したところで思いつく。
(主のほんとの気持ち、知りたいかも)
グーッドアイディーアー。
知りたいなら試せばいい。
抜き打ちで、主のおれに対する思いをチェックしてやる。
(ちゃんと満点取ってくれよ?もし赤点にでもなったら…その時は……)
主がクソ松から目をそらし、しゃがんでDVDを取ったその時、
「そうだな、それならば楽しめるだ…む、むぐっ!?」
おれはクソ松が声を漏らさないよう、手で口を押さえ首をホールドしながら、店の外へと連れ出した。