第43章 ※十四松に音楽会を 〜作者リク作品〜
ぼくが大声でアンコールを叫んでいると、一瞬だけ目が合ってニコッと笑ってくれた。
主ちゃんがマイクを顔に近づけると、場内はシーンと静まり返る。
「皆さま、本日はお忙しい中、わたし達のミニコンサートにお越しいただき、誠にありがとうございました」
あったかい拍手が会場を包み込む。
「では、感謝の気持ちを込めてアンコールを演奏させて頂きます!曲は…わたしが日頃からお世話になっている、大切な人へ送りたい曲にしました。皆様もきっと楽しんで頂けるような、ノリノリなメドレーです!それではお聞きください!」
拍手の中主ちゃんが座ると、すぐに曲が始まった。
〜♪
〜〜♪
アンコール曲は、ぼくが知っている曲だらけだった。
ぼく達が沢山歌って踊って演奏した、野球応援メドレー。
会場から感嘆の声が上がる中、嬉しいはずなのにぼくの目からポロポロと涙がこぼれていく。
ぼくはホールの隅っこで、人知れず泣きじゃくった。
ありがとうがいっぱい溢れてこぼれ落ちていった。