第43章 ※十四松に音楽会を 〜作者リク作品〜
十四松視点
僅かに残った主ちゃんの匂いを辿って、ぼくは町中を探し回った。
主ちゃんの匂いだけじゃなく、郵便屋さんの匂い、母さんの匂い、おそ松兄さんの匂い、猫の匂いが混ざって、なんかすっげー濃い匂いだった。
だから逆に辿りやすくて、すぐに見つかると思ったけれど、なかなか見つからない。
ちょっと落ち込みながら、パチンコ屋の路地裏を見回していたら、
「ここら辺は俺が探してやるよっ」
おそ松兄さんが一緒に探してくれた!
だけど、見つからなかったし、兄さんはそのままパチンコ屋に入っていった。
次に、河川敷を探していたら、
「ブラザー、ここはオレの庭だぜっ?」
カラ松兄さんが一緒に探してくれた!
でも、見つからないし、兄さんは犬のフンを踏んづけてぼくの鼻の調子を悪くした。
マジ余計なお世話だったね!
その次に、駅前を探していると、
「十四松兄さん、一緒に探そう!」
トッティが一緒に探してくれた!
でも…相変わらず見つからない。
それに、一緒に探すって言ったのに、女の子を見かけたらそのまんまその子と電車乗ってどっか行っちゃった。
だけど諦めきれなくて、商店街を走り回っていたら、
「十四松ー!まだ見つからない?」
チョロ松兄さんが一緒に探してくれた!
なのに…やっぱりダメだ。見つからない。
チョロ松兄さんは「ごめん」ってぼくに言ってから、そのままにゃーちゃんのライブに行っちゃった。
どうしよう。
どうしようどうしよう。
見つからない——。