第43章 ※十四松に音楽会を 〜作者リク作品〜
しばらくボク達が格闘していると…
—ガラッ—
いつの間にか、青いジャケットに着替えた十四松兄さんが、部屋を出て行こうとしていた。
「みんなストップストップ!!」
ボクの声で、兄さん達の手が止まる。
「十四松兄さん、朝ごはん食べないで出かけるの?」
「演奏会今日の昼からだから…ぼく、探さないと」
「十四松、外にあるわけがないだろう?オレも手伝うから部屋を……って、なにぃ!?」
カラ松兄さんが話している途中、十四松兄さんが無言で窓を指差した。
窓を見ると、開いたままになっていて窓枠に猫の足跡があちこちに付いている。
一松兄さんがハッとした表情になった。
「まさか…窓を閉め忘れていて、おれに会いに猫が…?」
「ぼく、主ちゃんの匂い分かるから、へーきへーき」
十四松兄さんはボク達に向かいニッコリ笑って見せたけれど、不安と寂しさを隠しきれていない笑顔だった。
「じ、十四松…その…」
「いってきーーーーマッスルマッスルーー!!ハッスルハッスルーー!!」
一松兄さんの言葉を最後まで聞かずに、十四松兄さんは階段を転げ落ちながら出て行った。
俯き口ごもり、猫の足跡を見つめながらそっと窓を閉める一松兄さん。
「ま、お前は別に悪くねーし、俺らも朝飯食ったら探すの手伝ってやろうぜ」
そんな一松兄さんの寝癖だらけの頭を、おそ松兄さんがわしゃわしゃ撫でた。