第42章 番外編 F6 おそ松とお嬢様
F6おそ松視点
天馬に跨り、月明かりの下、闇夜を二人で駆け抜ける。
そして、雲の上までキミをさらった。
まるで、ありふれたおとぎ話のようなデートプランだったけれど、喜んでくれてよかった。
まぁ、おでん屋台は意外な展開だったけどね。
星の海と手が届きそうな満月に、キミはため息を漏らしながら喜んでいるけどさ、俺は何よりも、キスした時のキミの顔に一番心を奪われた。
腕枕しながら抱き寄せれば、俺を誘うように唇が微かに震えている。
「おそ松…」
「なんだい?」
「なぜ、わたしなのです?わたしだけにこんな…」
どうやら、都合の良すぎる展開とアレだ…幸せ過ぎて怖いってヤツだね。
と、口調が少し戻ってしまった。
そんなの、簡単な答えなのに。
「主の方こそ、なぜ僕なんだい?」
「え…?」
「なぜ、僕を求め、呼んでくれたの?」
キミと出会い、恋をして、俺は相変わらずクズな俺だけど、キミはずっと一緒にいてくれた。
喧嘩もしたし、嫌がることも沢山した。
けれどキミは、俺といると笑ってくれる。
俺の方こそ、毎日が夢のようだ。
まぁ、普段のキャラじゃこんな事まず言わないけれどね。それに、思っていても根暗ならぬ根バカだから絶対に気がつかない。
F6ver.になると、どうにも頭が冴えちゃって、自分の深層心理が見えてしまうみたいだ。
「おそ松が言っていること、よく分からない。わたしが呼んだとか、おなにーとか…」
「アハハッ!まぁ、オナニーは分からなくてもいいかな!」
「気分転換でしたっけ?もう充分気分転換は出来ました。でも、この時間が終わってしまうと思うと…」
俺は言葉を遮るように額をくっつけた。