第42章 番外編 F6 おそ松とお嬢様
ペガサスがいた…。
絵本でしか見た事のない、空想の産物だと思っていたペガサスが…。
ペガサスに乗せられ、後ろにおそ松が座ると、彼はわたしを包み込むような体勢で手綱を握った。
ペガサスは、月に届くんじゃないかと思うくらい、高く高く空を飛ぶ。
「寒くないかい?」
「いえ…平気です」
(男の人と触れ合うと、こんなにも温かく心が満たされるのね…)
初めて知る異性の温もりと匂いに、胸の鼓動は痛いほど高鳴る。
「ペガサスに乗れるなんて、夢みたいです」
「ハハッ、少女趣味に寄せた結果こうなったのさ。今宵のキミは、夢見る夢子ちゃんだからね」
「…わたしのこと、からかってる?」
「あっ、そんなつもりじゃなかったんだ!主を喜ばせようと思ったって事さ!さぁ、着いたよ!」
ペガサスが降り立った場所は——
「ええと、ハイブリッドおでん?…ここはもしかして!」
「そう、お望みのおでんだよ!移動営業なのにカード決済可!相当な信頼と実績のあるチビ太のおでんは、おでん業界の覇王!!味は僕のお墨付きさっ!!」
サザ○さんでよく、波○様やマ○オ様が仕事帰りに寄っているあの…あの……っ!
古き良き昭和を彷彿とさせる、おでん屋台だった…!