第42章 番外編 F6 おそ松とお嬢様
「だって、先日我が家に訪れた時の彼を見ました!?まるで小学生のような出で立ちでしたわ!」
「イヤだわお嬢様。ああいうのを合法ショタって言いますのよ」
「言ったとしても、合法だとしても、わたしには無理ですっ!!百歩譲って、ハタを頭に刺すのは我慢するとしても、あの方と寝屋を共にするなんて……っ!!子孫を残せだなんて…!!うわーーーーん!!」
泣き崩れるわたしの背中を、トト子はポンポンとさすってくれた。
「…お察ししますわ。主様…」
トト子はしばらく一緒にいてくれたけど、仕事があるからと頭を深く下げ、ホットミルクを置いて部屋を出て行った。
せっかくトト子が持ってきてくれたのだからと、ホットミルクを一口だけ飲む。
「ハタ坊様の妻になったら、トト子とも会えなくなるのね…」
わたしは、自分に課せられた運命を呪った。
お父様はお優しいけれど、どこか頑固で、わたしの話なんてちっとも聞いてくれない。
わたしは、いつもお父様の敷いたレールの上を進むだけ。
学校だってお稽古事だって、ぜんぶぜーんぶお父様が決めた。
…お母様が亡くなってから、お父様は変わってしまった。
何に対しても臆病になり、わたしは鳥籠に囚われた哀れな鳥のように、自由なんて与えて貰えなかった。
学生時代は恋の一つも知る事なく、私立の女子校と屋敷を往復するのみの退屈な毎日だった。
それを耐え忍んだ結末が、ハタ坊様との結婚ですか?
神様…赤塚不二夫様…。
それがわたしの宿命なのですか…?
わたしは、泣き腫らした瞳を閉じ、現実から逃れるように眠りについた。