第41章 番外編 F6 十四松先生と二重奏を コーダ
「さぁ!主のテーマがそろそろ入ってくるよ!!」
涙を吹き飛ばそうとするかのような、大げさに明るい声が飛んできた。
クライマックスへ向け、再び盛り上がってきたピアノに合わせ、わたしは楽器を吹き鳴らした。
・・・
曲が幕を閉じると、すぐさま先生がわたしを後ろから抱きしめてきた。
そのままピアノに身体を追い詰められる。
もう二人とも、待つ事なんて出来なかった。
「愛してる…主」
「十四松先生…」
優しく深いキスをされ、こころも身体も先生でいっぱいになっていく。
心のどこかに残っている悲しみを、抱擁するような優しいキス。
夢中になり抱きしめ合いながら求め合うと、ピアノの鍵盤に腕がぶつかりポロンと鳴った。