第40章 番外編 F6 十四松先生と二重奏を 第三楽章
初めて話したあの日から、主との何てことない関わりを心待ちにしている自分がいた。
何故かはわからない。
だが、一目惚れをした事のある奴にならば分かるだろう?
それには理由なんて無いんだ。
出会った瞬間から特別な存在なんだ。
しかし…おれが、主を好きだと自覚するのには二年半もかかってしまった。
会いたい、話したいと思う気持ちが、恋心からだったと気づくのが——あまりにも遅すぎた。
もっと早く気がついて行動していれば、運命は変わっていたかもしれない。
恋仲になっていたかもしれないというのに…。
恋心を自覚したキッカケは十四松だ。
主が副部長になってからというもの、アイツら二人はどんどん親密になっていった。
なぜかアイツと十四松が二人でいるのを見ると、メラメラと嫉妬心が顔を出した。
他のヤツといるのは平気なのに、十四松だけはダメだった。
見ているだけで、胸の中にツンと痛みが走ったんだ。