第40章 番外編 F6 十四松先生と二重奏を 第三楽章
F6一松視点
三年間なんて、長いようであっという間だな。
暇つぶしにでもなればいいと始めたのに、結局最後まで部活を続けてしまった。
始めは、従兄弟である十四松の様子を見にくるつもりで、兄さん達やトド松と見学に来たんだ。
アイツが顧問とか、心配でしょうがなかったからな。
おれはどちらかというと、集団行動よりも一人でいる方が好きだから、仮に入ってもすぐ辞めるだろうと思っていた。
だが…
「ええと、紫色の髪が一松くんだね!これからよろしく!」
ある日突然、主がおれに話しかけてきた。
「一松くんて、猫好きなんだね?」
「それがどうした?」
「それがどうしたと言われるとそれまでなんだけど…今日の帰り、わたしも一緒に猫缶あげに行ってもいい?」
タイミングが悪いと思った。
ちょうど、猫缶を忘れた日だったんだ。
「無理だな」
「えー?せっかく猫缶買ってきたのに。じゃあわたし一人であげに行くかぁ」
「無理じゃない」
「えぇっ!?どっち!!」
何てことない挨拶と、何てことないきっかけで、おれ達は次第に会話を交わす仲になっていった。