第39章 ※番外編 F6 十四松先生と二重奏を 第二楽章
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演奏を終え、松野先生の方に振り向くとウインクが飛んできた。
恐る恐る部員達がいる方へ向き直ると、
—パチパチパチパチ!—
みんなの暖かい拍手に包まれ、わたしの不安は吹き飛んだ。
「主ー!音すごくキレイになったね!」
「さっきとはまるで別人!むしろさらに上手くなったよっ!」
「松野先生ー!今夜は抱いてくださーい!」
「アッハハ!子猫ちゃん、それはまたの機会にねっ」
みんながわたし達の演奏を喜んでくれていた。
(みんな…ありがとう…!)
涙ぐむ瞳を隠すようにペコリと頭を下げ、楽器を片付け出すと、一松くんとチョロ松くんがやってきた。
「主さん、見違えるように素晴らしい演奏でした!何故急に元に戻ったのですか?」
「えっと、楽器にゴミが詰まっていただけだったの!心配かけてごめんね!」
「そうでしたか。本当によかった!一松も随分と心配していたんですよ」
見ると、一松くんは俯いている。
チョロ松くんは、そんな一松くんを見て嘆息した。
「主さん、帰るようでしたら一松と帰ってあげてください。今日はおそ達がリムジンに乗って帰ったので、一松は歩きなんです」
「もちろんいいけれど、チョロ松くんは?」
「わ、私は…事務作業ばかりであまりユーフォニアムを愛でていなかったので、もう少し居残りしてから十四松と帰ります」
「わかった!じゃあ一松くん、一緒に帰ろう?」
一松くんは無言で頷いた。