第39章 ※番外編 F6 十四松先生と二重奏を 第二楽章
音楽室に戻ると、まだ部員はけっこうな数残っていた。
十〜十五人ほど話したり練習したりしている。
その中には、一松くんとチョロ松くんもいた。
一松くんがドラムを叩いている周りには、案の定女生徒が集まって聴き惚れている。
一松くんはわたし達二人を見つけると、スティックを下ろし、真っ直ぐ見つめてきた。
それを合図に、音楽室中の視線がわたし達に集まる。
「じゃあ、さくっと演奏しよう!」
「はい!」
わたしが急いで譜面台を持ってくると、すぐさまポーンと鍵盤が鳴った。
チューニングの合図だ。
わたしは、深呼吸をしてからトランペットを構える。
(楽譜の上で、二人は恋人同士…)
〜〜♪
(!!)
鳴った———!
さっきまであんなに音が出なかったのに!!
部員のみんなもチューニングしただけなのに拍手をくれた。
松野先生はニコッと微笑むと、そのまま曲を弾き始めた。