第39章 ※番外編 F6 十四松先生と二重奏を 第二楽章
「これは、この間の曲の二楽章?」
「うん。楽譜の上でなら、何をしても怒られない。種明かししちゃうとさ、これは、ぼくのキミに対する気持ちを詰め込んだ曲なんだ」
「わたしへの気持ち?」
楽譜を手に取ると、松野先生はいつものようにフワリと微笑んだ。
「触れ合えなくて寂しくなったら、音楽で愛し合おう?最高な曲を卒業までに書き上げるよ。主が卒業するまで、ぼく達は楽譜の上でだけ恋人同士。いいね?」
「先生…」
「ちなみにね、女の子のために曲を書いたのはキミが初めて。ぼく嘘はつかないよ。…これで少しは安心できる?」
わたしのファーストキスを奪った人の初めてを、わたしも貰っていた。
信じて、いいのかな。
わたしを想ってくれているって…。
「…分かりました。先生…!」
「ハハッ、急に笑顔になったね!じゃあ、早速初見大会しようかー!」
「えっ!?でも、まだ音出るか分からないんですけど?」
「みんなー!ミニコンサートのはじまりだよーー!!」
戸惑うわたしを無視して、先生が音楽室のドアを開いた。