第39章 ※番外編 F6 十四松先生と二重奏を 第二楽章
「おれといる時は…いつも通りだと思う」
「ハハッ、一緒にいる時はねぇ?」
十四松が音符を打ち込みながらクスクスと笑みをこぼす。
「その意味深な含み笑いは何だ?…まさか、お前…」
「なーにー?」
「あいつに、何か破廉恥なことしてないよな?」
もしかしたらおれの目の行き届かない所で…!
十四松ならやりかねない!
「今はしてないよー」
(…『今は』だと!?)
「じゃあ『今』ではなく『以前』主に何かしたのか!?教師の端くれにも置けない奴だな!!」
おれはホチキスを構え立ち上がった。
「落ち着きなさい一松」
「いや、チョロの方が落ち着け」
チョロは気が動転して、パソコンでアダルトサイトを開きだした。しかもマニアックなヤツ。
「アッハハ、ナイトがしっかり守ってあげないとね?」
「十四松、喧嘩を売っているのか!?いいか、おれとあいつは学生同士、お前は教師。これだけでおれの方に分がある。わかっているな?」
「じゃあ、卒業したらわっかんないね?」
(な…に!冗談かどうか試しに挑発したら、乗ってきただと!?)
あいつを妙に気に入っているとは前々から思っていたが、十四松は……生徒である主の事を本当に狙っているのか?
「お、お前には指一本触れさせない!!お前は教師だろ!」
「それが、あの子にとって余計なお世話だとしても?」
「なんだと…!?」
十四松は作曲の手を止め、座ったままくるりとイスをこちらに向けた。