第39章 ※番外編 F6 十四松先生と二重奏を 第二楽章
F6一松視点
主とアイスを買いに行きたかったのに、十四松に捕まってしまった。
「で?仕事ってなんだ?」
「これですよ」
ドアが開いてチョロの声が聞こえると、おれの目の前に書類が山積みに置かれた。
「これは?」
「コンクールは一日では終わりません。地区大会の次は県大会、その次は西関東、東日本、そして、全国大会と続きます。昨年は惜しくも西関東止まり」
チョロがゴトリとホチキスを書類の横に置く。
「これは、私が作成した本番当日のしおりです。各大会のコンクール会場一覧、当日持参するもの、演奏する際の心構え、やる気を出させる為に赤塚不二夫先生の格言を載せてあります」
「ほう…相変わらずチョロは熱心だな」
「チョロは忙しいからさ、それを人数分ホチキスで留めてあげて」
「別にこれくらい構わないが…」
少し面倒だな。おそは今頃主と幸せな時間を過ごしているというのに。
早く終わらせ主の元へ行こうと思い、パチンと乾いた音を部屋に響かせる。
「では、私はアイスを待つ間に、西関東大会と東日本大会で宿泊する施設を探します」
チョロが俺の隣でパソコンをカタカタし始めた。
本来ならばおそ松と主の仕事のような気もするが、チョロはこういうちまちました作業が好きなんだ。
それに、あいつは今楽器の事で悩んでいるだろうからと、チョロなりに気を使っているのかもしれない。
十四松はというと、鼻歌を歌いながらパソコンで作曲中。
また主の曲を書いているのか気になり、パソコン画面を盗み見ていたら…
「一松、主さんの様子で何か気になった事はありませんか?急に不調になるなんて、悩みでもあるのでしょうか?」
チョロがおれに主の事を聞いてきた。