第39章 ※番外編 F6 十四松先生と二重奏を 第二楽章
校内の売店に行くとカラ松くんがペットボトルを買っているところに出くわした。
カラ松くんはわたし達が二人で六十人分のアイスを持っているのを見ると、めんどくさがる素振りをしながら、一番重たいビニール袋を持ってくれた。
お礼を言っても返事をしない横顔は、少しだけ赤らんでいる。
三人で廊下を並んで歩き、話しながら音楽室へ向かう。
「主、楽器の調子はどうだった?修理必要そうなの?」
「ううん、楽器は何ともなかったから、わたしの問題…」
「チッ、ボーッとしてるからだろ!最近のお前、さらに鈍臭いからな」
カラ松くんの「鈍臭い」がズシリと重くのしかかる。
すると、おそ松くんが優しく微笑みながら、肩を叩いてくれた。
「大丈夫だよ主。すぐ音出るようになるさ。でも、この所ボーッとしているのは、カラ松と同じで僕も心配していた」
「だ、誰が心配してるだぁ!?オレは本番前にそんなんだと迷惑だから、早く元に戻って欲しいだけだ!」
カラ松くんは、なんだかんだいつも優しい。
「二人とも、ありがとう」
「…十四松と何かあった?」
「えぇっ!?」
「っつーか一松とも。お前ら分かりやすいんだよ!」
思わずビニール袋を落としそうになると、舌打ちしながらカラ松くんが持ってくれた。わたしはしどろもどろしながら聞いてみる。
「わ、分かりやすいって、どこら辺が?」
「一松は急にテメーとつるむようになったし、十四松のヤツは…」
言いかけてカラ松くんは口ごもる。
その様子を見て、クスリと微笑んだおそ松くんが代わりに話し始めた。