第37章 番外編 F6 カラ松と捨て犬
白い砂浜に両腕を掴んで主を組み敷くと、澄んだ瞳が困ったように揺らめいた。
オレは、ワザと怖がらせるように声を荒らげる。
「あんまりオレ様の事ナメてると、痛い思いさせるぞ!」
「そうやってすぐ怒鳴るし、女相手に暴力を振るうし」
「あ?いつオレが暴力を振るった?」
オレがそう言うと、恨めしそうに頬を指差している。
「そうかよ!じゃあまた痛めつけてやる!」
「や、やめてくださいっ!!キャハハハハッ!!」
オレは頬をつねりながら脇腹をくすぐった。
主はたまらなそうに身体を震わせている。
このまま続けて過呼吸にでもなられたらメンドーなので、一旦手を止め、涙目になっている主を見つめた。
「少しは反省したか?」
「しましたしましたっ!ふふっ」
そう言ってクシャっと微笑んだ。反省の色なんてちっとも見えない。
「カラ松さんって、口は悪いし暴力的だけど」
「テメー!」
またくすぐりを再開しようとしたが、
「…とっても優しい」
「っ!!」
その一言で手が止まり、一気に顔が熱くなった。
バレたくなくて、主から手を離し立ち上がる。
「カラ松さん?」
「ちょっ、待て!こっち来んな!!」
このオレが照れてるとか、ありえない。
このオレが翻弄されてるなんて…。