第37章 番外編 F6 カラ松と捨て犬
そんなに強くつねってないのに、大げさに頬を押さえて睨みつけてきた。
「…今のは倒置法です。その方が効果的かと思って。せっかく、続きがあったのに」
「んな小技は、マトモに話せるようになってから使え!」
クソッ、なんでオレがツッコミに回らねーといけないんだ!
コイツはいつもオレのペースを乱しやがる。
随分会っているはずなのに未だに慣れない。
慣れないというか…会う度に新鮮だ。
「…で?何が嬉しかったんだ?」
思わず怒鳴ってしまったので、今度は意識して声を和らげてやった。
「えっと、ずっと好きだった人と仲良くなれました!今度、一緒にゴハン行く約束したんです!!」
「なっ!!??」
な、なんだと…!?
狙った獲物は一撃必中のこのオレが…オレ様が!!
失恋…だと!?
…フザケンな!!お前はオレのもんだっ!!
「カラ松さんの特訓のおかげです…」
主はそんなオレの胸の内を知る事なく、肩に頭をすりすりしている。
「チッ……」
「ちなみに女の子です」
「はぁーっ!?」
コイツ、今ワザとこのオレを試したな…!
「…テメー、ふざけてんのか?」
「え?ちゃんと主語を付けて話しましたよ!もったいぶっただけです!」
安堵と共にイライラが襲ってきて、思わず主を砂浜の上に押し倒した。