第5章 四男と雨だれ
一松視点
まさかのタイミングで鼻血を出してしまい、一旦中断して風呂から上がった。
ベッドに案内され、ティッシュを詰めて止血をする。
その間に、主は髪を乾かしたり、なんか顔に塗ったりして女の手入れ?をしていた。
(おれ、カッコ悪すぎ…もしかしたら、このまま追い出されたりして…)
窓を見ると、幸いまだ雨が降っていたから、それは無い…と信じたい。
(つーか身体がもたないー!キスだけであんなに興奮するのに、それ以上の事とかしたら、身体中の穴という穴から出血するー!かと言ってもう引き下がれないー!!ぜっったいに主に挿れないとおれの精神崩壊待ったなしー!!)
妄想だけで息が上がってきた。
「鼻血止まったー?」
ドクぺを持ちながら主がこっちに来た。
来たけど…
(な、ななな…)
「どう…かな?ベビードール買ってみたんだけど、カワイイ?」
主はピンクでスケスケのクソエロい布切れを着ていた。
(なんだそのエロエロなナントカドールってーー!!??童貞侮りすぎだろーー!!??そんなん見せられたらエロすぎて腹上死待ったなしーー!!!!)
口をあんぐりと開け、なんでんかんでんドールに身を包む主に目が釘付けになる。
「一松くん?」
「……」
「おーい」
不意打ちのエロスに見惚れて声が出ない。
「ねえってば」
「……」
「ん…?」
「…………カ、カワイイ」
やっとの思いで声を発した時、自分の呼吸が止まっていたのに気づく。
深く息を吸えば、急に大量に取り込んだ酸素のせいで肺がじーんと痛くなった。
「ありがとう…っていうか、嬉しいけど、その一言のためにそんなに溜めなくて、も……っ!?」
言葉を遮るように、無理やり主をベッドに組み敷いた。
自分からエロい格好して見せつけてきたくせに、怯えた目つきでおれを見つめている。
それがおれをますます煽ってるのわかってんのか?
「……血、止まったから…早く…続きしたい」
主の返事を待たずに、おれは口を塞いだ。